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小林よしのり
2024.12.30 07:33日々の出来事

老いを防ぐ「歌謡曲を通して」の意義というのもある。

「歌謡曲を通して」の1月18日生放送の楽曲選びと、
2月15日の横浜LIVE用の楽曲選びのために、
チェブリンと何十曲も選んで次々に歌ってみたが、
やっぱりテーマ設定から選ぶと相当に難しい。
てゆうか声に合わせた音程の設定だけで時間を食う。
わしが女性歌手の歌を歌おうとするからなのだが。

チェブリンが演歌を歌えるようになってきて、歌唱力が
伸び盛りになってきたが、わしは自分の問題点を、
大須賀氏の動画が送ってくるたびに感じていて、次回こそ、
次回こそと考えている。

そして、どうしてももう一度、ギターを弾けるように
ならなければ気軽に「歌謡曲を通して」の生放送が出来ない。
どこかでレッスンを受けようかとも思っている。

チェブリンが最近この「歌謡曲を通して」に異常に熱を
入れてきたのは、わしの老化を防ぐためらしい。
目が悪くなって、足腰の弱り方は加速度的で、実はこの
ままじゃヤバいとわしも思っていたが、机にかじりついて
仕事をするのが大好きだから、脚力の衰えがハンパない
状態だ。

大晦日の生放送をするビルがエレベーターがなくて、
5階まで階段で上がらなければならず、その階段が暗くて、
狭くて、急で、わしがギターと、酒と、カバンを持って
上がるのは絶対無理らしい。
チェブリンはスニーカーで来ると言っているが、降りる
ときはもっと危険らしく、当日はわしの近場の駅まで
迎えに来て、ギターを運んでくれるそうだ。

チェブリンはわしを完全に老人介護の対象としか見て
いなくて、本気で心配しているから、「歌謡曲を通して」
を何が何でも続けて、わしを延命させようとしている。
わしが外出する時が、歌の練習のときしかないのだ。

まあ、スタジオ練習があまりに苛酷だけれど、やるしかない。
ギターが弾ければ、オリジナルを作ることも出来るから、
表現の幅が拡がる。
「表現」というものに貪欲なのは、性分として仕方がない。
多くの人の支えによって、老化を防ぎながら、仕事をする
しかない。

インド版アニメ『おぼっちゃまくん』が、また成功したら、
まだまだ今後やることが増えるかもしれない。
「歌謡曲を通して」で老いを防ぐしかないか。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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